Web広告(インターネット広告)は世界中で多くの広告主が活用しており、その広告費は大きく右肩上がりに伸長しています。こうした背景に伴い、Web広告の活用方法に専門性をもった数多くのWeb広告代理店がありますが、何を基準にどこを選べば良いのかお悩みの方も少なくないのではないでしょうか?
今回は、事業会社側と代理店側の両方の立場でWeb広告を活用して事業成長に関わってきた筆者の視点から、Web広告代理店の選び方というテーマで大事にしたいポイントについてご紹介します。
Web広告の種類
そもそも、Web広告という言葉にはさまざまな手法が含まれます。次のようなものが一例であり、実にさまざまな種類があります。
- Google検索エンジンで検索した際に上位表示されるリスティング広告
- Instagramで友人の投稿を見ている合間に表示されるSNS広告
- YouTubeで動画を見始める際に流れるビデオ(動画)広告
- お気に入りの記事メディアを読んでいる途中で表示されるディスプレイ広告
- まとめ記事や動画から関連サービスを紹介するアフィリエイト広告
まずはどのような種類のWeb広告についての専門性や実績を持っているのか、具体的にヒアリングをしましょう。たとえば、同じリスティング広告の中にもGoogle広告やYahoo!広告、Microsoft広告などさまざまな媒体があるため、どの広告媒体でどのような業界やターゲットに対して強みや専門性を持っているのか、ぜひ深掘りしてみてください。
また、一つの手法のみではなく、複数の手法に対して知見や実績がある方が、多くの広告媒体とターゲティングの組み合わせを検証できるため、成果につながる可能性は高いといえるでしょう。Web広告は複数のやり方を同時並行で試しながらポートフォリオを組み、バランスを見て良いところに寄せていくという管理方法が定石です。
業界業種ごとの実績
ベースとしての業界理解やその業界特有の知識、ビジネスモデルなどを把握した上でWeb広告の活用方法を考えてくれるかも成果に直結するポイントです。過去に経験がある代理店の場合、立ち上がりがスムーズに行きやすいといえます。
当然ながら、秘密保持契約等の縛りもあると思いますが、なぜ上手くいったのか、上手くいかなかったのかなるべく詳しくヒアリングして、自分達の事業に展開した場合に成果につながるイメージが持てるかどうか冷静に検討してください。
ただし、完全に競合する事業やサービスの代理店である場合は、その代理店に委託しない方が良いでしょう。というのも、情報が筒抜けでありコントロールされるリスクがあるからです。
委託する業務
一様にWeb広告代理店探しをしている場合でも、事業フェーズや組織体制によってどのような業務をWeb広告代理店に委託したいかがまったく異なると思います。具体的には、次のような業務があります。
- 予算計画
- 広告媒体の選定とプランニング
- 配信シミュレーション
- クリエイティブ作成
- ターゲティング選定
- アカウント構築
- 入稿
- 運用
- データ分析
- データ計測
- データ集計
- 予実管理
こういった業務の中で、どのような領域をどの程度の水準で代理店に対して求めたいのか要望を明確にしておくと良いでしょう。逆に、これらを曖昧にしたまま進めてしまうと、思わぬ落とし穴が待っているかもしれません。
過去の実績をヒアリングする場合も、こうした一連の業務が積み重なり成果につながっていることが多いため、具体的に一連の流れも含めてどこがポイントになったか確認すると良いです。
手数料(委託料)の決まり方
Web広告代理店における手数料(委託料)の決まり方は、大きく分けると次の3パターンです。
- 広告費連動
- 稼働連動
- 成果報酬
いずれも一長一短あり、どれが万能ということもありません。また代理店によって種々条件が異なるため、それらをしっかりと把握した上で、自社事業のビジネスモデルやフェーズ、予算などに応じて適切な形を選択するとよいでしょう。
1.広告費連動
広告費連動とは、投資した広告費に連動して手数料が決まるモデルです。広告費が増えるほど、手数料も増えるという特徴があります。特に多くの広告費を投資する事業会社にとっては手数料金額が重くなります。また、手数料率の相場としては広告費の20%前後が多く、およそ10~30%の間で変動します。
ただし、広告費連動だと、代理店側としては広告費を増やしたい力学が生じるため(広告費が増えることで手数料も増えるため)、事業会社側は成果につながる投資になっているか、客観的に成果判断をする必要があります。
2.稼働連動
稼働連動とは、代理店側の稼働量に応じて委託料が決まるモデルです。特に広告投資額が大きい事業会社にとっては、1.の広告費連動と比較すると、代理店に支払う手数料(委託料)を節約できる可能性が高いといえるでしょう。
一方で、広告費が限定的な場合は逆に、広告投資額に対して委託料が高くなる傾向もあるため、見極めが重要です。
3.成果報酬
成果報酬とは、特定の成果地点と報酬を設定し(たとえば、商品購入など)、成果に応じて報酬を支払うモデルです。成果地点と報酬の水準を間違えなければ、事業会社にとってはリスクの少ない報酬形態だといえます。
ただし、そもそも購入数が限定的で成果地点と報酬の水準の決定が難しい場合や、その水準が厳しすぎる場合など協力してくれる代理店がかなり限定される可能性もあります。
担当者(チーム)は誰か
Web広告代理店選びの最後のポイントは、実際に担当してくれる人(チーム)は誰かということです。こちらは軽視されがちですが、最も成果につながるポイントといっても過言ではありません。
先ほどお伝えしたように、単に「Web広告を運用する」といっても非常に多くの変数があり、それらが掛け合わさって最終的な成果に結びつきます。単純な作業の積み上げではなく、掛け合わせだということがポイントです。だからこそ、誰が担当してくれるかによって雲泥の差が出ます。
もちろん、Web広告代理店としての実績や知名度というものは一定加味すべきですが、「担当者(チーム)は誰か?」という問い以上に成果に直結するものはありません。フロント営業の話だけを鵜呑みにせずに、実際に取り組みが始まった際に誰が担当してくれるのか、直近どんな実績を出しているか、人として信頼できるか、相性は合うかなど、必ず確認するようにしてください。
まとめ
Web広告代理店の選び方をテーマに、事業会社側と代理店側の両方の立場でWeb広告を活用して事業成長に関わってきた筆者の視点から、大事にしたいポイントについて解説しました。
すべての要望を100%満たす完璧な代理店を見つけるということは難しいでしょうし、状況変化に応じて変わっていくものです。ただし、その時その時で自分達に合った代理店選びをする上でも、まずは自分達が何を重要視しているかスタンスや優先度を表明することは非常に重要です。
もしかすると、選定した代理店とは数年〜数十年という長期間の協業パートナーになる可能性もあります。ご納得のいくWeb広告代理店選びをされることを心から願っております。
私たち株式会社Geneは、デジタルベンダーマネジメントという領域に強みを持ち、総合的な観点から事業会社のよりよいベンダー選択や事業推進の一助となれるよう、これまでも数多くの事業現場で尽力してきました。もし、Web広告代理店選びに困っている方がいらっしゃいましたらぜひお気軽にご相談ください。